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Dialog in the Dark

News090422_1main昨日、仕事を終えてから外苑前で開催中の「ダイア
ログ・イン・ザ・ダーク」
へ行ってきました。
昨年参加した知人から話を聞いて、行きたくてたま
らなかったこのDID。
今年は長期開催ということもあって、手に入りづら
いと言われていたチケットも無事に購入することが
できました。

私が体験してきたことを事細かに書いてしまうと、
これから体験する人にネタバレになってしまうので
あんまり詳しく話せないことが「うぅぅっ」って苦しくて
足をバタバタしたくなるほど、語りたくってしょうがない気持ちです。

なんかねー、いろいろな今まで自分で考えてたり、思いこんできたことが、
覆されたりもしたし…、上手く言葉じゃ説明できないんだけれど、うーん。
アタマじゃないところでたくさん気づかかされたり、発見したことがあったりで
とてもとても暗闇が愛おしくなる体験だったなぁと。

まず、明るいところからカーテンをくぐって初めて真の真っ暗闇に入った時の
恐怖。目をこらしてみても、目をずーっと開けていても、そのうち目が慣れて
何かが見えてくる、なんてことはなくずっとずっと何も見えない。自分の手も
周囲の人も、壁も足元も、持ってる白い杖も、とにかく何も見えなくて。
そんな中、さっきまで赤の他人同士だった8人で巡る1時間半の暗闇ツアー。
アテンド役の方(暗闇のエキスパート=視覚障害者の方)のなんと頼もしい
こと。「もしかして、この人ってば実は見えてるんじゃないのか?」って思って
しまうほど暗闇の中を縦横無尽に行動できるんですよね。尊敬します。
そんなアテンドさんの声を頼りに、私達8人は協力しながら橋を渡り、草の匂
いをかぎ、しゃがんで小川の水に触れ、果ては暗闇のBarで一杯ひっかけた
りもするのでした。

見えなくなることの不安とひきかえに、人の身体に触れることの安心感とか、
声をかけあう楽しさとか、他人に助けられたり助けたりすることの大切さとか。
何よりも、視覚以外の他のすべての感覚が、時間が経過していけばいくほど
どんどんと敏感になって、拡がっていくことの面白さ!

なんていうのかなぁ。
最初は、足をたった5センチ前に出すのも怖くて、自分の身体がその5センチ
よりも小さいような感覚なんですよね。それが物が見えないことで、見えない
から見た目で判断できない分、匂いとか、空気が肌にさわる感じとか、聞こえ
てくる音とかで、物事を見た目じゃないもの、自分なりにアタマで描きながら
とらえるようになると、だんだん3次元とは別次元での可動域っていうのかなぁ、
うーーーん、上手く言えないんだけど、全方向にぐわっと拡がっていくような…、
そんなふうになっていく気がしたんですよね。

視覚障害の方々のことを今までとても気の毒だと思っていたけれど、(もちろん
健常者の私から比べれば、不便だったりすることはとても多いのだろうけれど)
誤解を恐れずに言えば、思っているよりも、ずっと彼らの暗闇の世界は奥が深く
自由で楽しい、何よりも視覚にしばられない空間で、見えないことの辛さよりも
見えてることの何十倍も楽しめるものがあるのかもしれないと思うほどでした。

1時間半の体験が終わりに近づいて、アテンドさんに、
「そろそろ明るい世界に皆さんは帰りますので、僕とはここでお別れです」
と告げられた時、私たちのグループの中のひとりの男性がぽつりと、
「このままここにいたいな。明るくなるのが寂しい」
って言うのを聞いて、私たち他の7人も
「本当に…。この暗闇が名残惜しいよね」って笑いあったりして。

会場を出て、見慣れた夜の青山を歩いて帰る。
なんかとっても不思議。匂いとか音とか、うるさ~い(笑)んだよね。
自分の家がある駅のホーム。ついつい点字ブロックの上を歩いてしまう。
「まっすぐ、まっすぐ。ここでストーップ。ここから先へは行かない…だね」
なんて確認しながら、改札の外まで出てみました。

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「見て聴いて読んで」カテゴリの記事

コメント

僕も行きました。

グループには何回目かの参加というひともいて、「会場内の仕掛けが毎回違う」とのことなので(前回は廃校になった校舎が会場だった、とか)、リピートしたくなる気持ちもわかるな、また次回も来たいな、と。

ツアーが進むにつれての「拡大していく」感覚と、暗闇を出たあとの「萎んでいく」感覚、を、忘れないようにしようと思います。

あと、ちょっと前に視覚障害の方が交差点を渡るのをお手伝いしたことがあって、そのひとは僕の肩に置いた手と肘が平行に見えるくらい身長が高かったんですが、DID体験後に彼のことを思い出して「視覚障害者は地上のものについてはステッキの力を借りれるんだろうけど、空中にある障害物を避ける(建物の梁にオデコをぶつけないように屈む、みたいな)のは難しいんだろうなー」と思ったのでした。

投稿: pleo | 2009年4月29日 (水) 07時12分

わー、行ってきたのね。okさんにお誘いがなければ知らない世界だったのに、紹介してもらったサイトを何度も見返してしまいます。

暗闇といえば、ン年か前に、夜の田舎道で、本当の暗闇を味わったことがあります(^-^;。もうね、闇が重さを持っているような感覚。あれほどコワイ経験はなかったんだけど、その分、明かりを見つけたときの、「ああ、これで人に会える、ヨカッタ」っていう人恋しさはなかったです。普段は人ごみキライなくせに...(゚ー゚;
ひと昔前は、暗闇なんて日常だったのにね、都会に生きていると非日常になっちゃうのよね。
でも、自分の中の野生(?)が目覚める感覚って大切よね。
よーし、GWはまた山に行こうっと!(いつも通りだ...)

投稿: うT | 2009年4月29日 (水) 14時54分

うわー。めっちゃ興味ありありの津々です。
目を開けていても暗いって、、怖いかも。
で、草のにおいに、小川の水に、バー!?
暗闇で!?
なんなんでしょーーーー!!
体験してみたいです!
はてなだらけで楽しい!

投稿: なつねの | 2009年4月29日 (水) 21時17分

■pleoさん
pleoさんは私と同じく今回のDID(千駄ヶ谷のほう)のに行ったのね?
いやぁ、本当に念願かなってのDID体験だったんだけど、噂以上、想像以上に
刺激的でした。私もまた行ってみたいなぁって思った!
あの暗闇の中でだんだんと気持ちとともにいろんな感覚が全方位的に拡がって
いくのが快感で。個人的にはYOGA的なものに通じるところもあるなって。
(YOGAでは自分自身を自分の身体の外から眺める感覚があるの)

視覚障害の方、確かに空間の障害物は苦手かもしれないですねぇ。
そのへんこれから視覚障害の方を見かけたときなどは気を配ってケアしてあげ
たいですね。あと「声かけ」が大切だなぁと。

それにしても人間ってかなり触感で物を認識できるものなのだなって、DIDで野菜を
触りながら感じた(大根とか一瞬でわかった(笑))けど、その反面、最近は食品などが
スーパーで白いプラケース+ラップでパッキングされて売っているわけで。
そうなると視覚障害の方は、触れて判別ができなくなってしまうから困るだろうなぁ
ってことでした。
(うーん、便利な世の中って誰のための便利なんだか…)

投稿: ok | 2009年4月29日 (水) 22時27分

■うTさん
GWはうTはどこの山に行くのかな?私も山行ってくるよ~。
うTみたいに走りはせんが…。(景色をゆっくり見るのが好きなの)

私の周囲ではDID体験者がどんどん増えていてまだまだ増殖中だよ。
社内でも6月チケットの発売を待ち構えているヒトが数名います。

うTの体験した暗闇の田舎道、きっとその暗闇のずぅーーとずぅーーっと
何倍もDIDの暗闇は暗いんだよ~(笑)
だって、DIDの暗闇では目の前が「田舎道」なのか「川」なのか「家」なのか
「海」なのか「宇宙」なのかまるでわからない、それどころか上に向かっている
のか下に向かっているのかもわからない、ただただ真っ暗なのです。

でも不思議と怖くなくなってくるんだよぉ、その暗闇が。
むしろ落ち着くっていうか、あのまったりとした深い安らぎは今後二度と味わえ
ない気がする。なのでまたDIDに行ってみたい気がするのです。

投稿: ok | 2009年4月29日 (水) 22時40分

■なつねのさん
興味ある??そしたら絶対行ってみてみて!
今回は長期開催しているので、チケットは手に入るはずです。
もし行くときは、なるべく2人(ひとり参加もおすすめかも)くらいで申し込んだ
ほうがいいよ。3人だと多すぎるくらい。たった8人という少人数のグループで
行動するのでなるべくそこに知らない人が多いほうがいい気がするんだよなぁ。
知らない人間同士が、どうやってコミュニケーションをとっていくのかを楽しむ
ためにも、知らない人が多いほうがより楽しめると思うのね。
私、実は初対面ってすっごく苦手なんだけど、視覚がない分、それと協力しあわ
ないと暗闇の中では1歩も前へ進めない分、無理しなくても声出したり、知らない
人の手をつかんだり、支えあったりすることができるの。

嗅覚とか触覚とか聴覚とか、こんなふうにひらいていくのかぁっていうのもわかるし。
ぐわぁーーーって拡がっていくんだよー。
まぁ、DID会場を出ちゃうとまた普段の自分に戻っちゃうわけだが…。

視覚障害の方への認識もちょっと変わるし、いろいろな面でオススメ!

投稿: ok | 2009年4月29日 (水) 22時56分

去年、私が興奮冷めやらぬままDIDのことを話していた
理由が、実際に行ってみてわかったかなー?
あの暗闇の中の居心地の良さって何だったんだろうって、
今もあの感覚をふと思い出す時があるのだけど。

レポ読んでいたらまた行きたくなってきました^^

投稿: kimi | 2009年4月30日 (木) 11時04分

私も行ったよ。
日曜日だったので、私のグループには小学生の男の子と女の子がそれぞれの
お母さんと参加してたんだけど、この子達がすごかったよ。
けっこう自由に歩き回っててねー。びっくりするほど遠くで声するんだよ。
普通、みんなとはぐれちゃうのがイヤだから遠くになんか行けないじゃない?
ぜんぜん平気なんだよー。すぐこっち戻ってくるし。(見えないのに!)
子供の可能性とか積極性とか動物的本能とか、そういうのを思い知らされました。
子供はのびのびさせるのが一番だよ、絶対そうなんだよ。

投稿: mau | 2009年4月30日 (木) 18時07分

■kimiさん
うんうん、行ったよぉーー!!
去年kimiちゃんから話を聞いた時は、開催中にもかかわらずすでにチケット完売で。
今年の開催が決まる前から、ずっと首を長くして待ってたのだよ。
本当にまったく何も見えなかったねぇ。
暗闇Barでは「こんな心地よさ生まれて初めて」っていうくらいの心穏やかな時間を
すごしたわ。
ドイツみたいに常設館になったらいいのにね。

投稿: ok | 2009年4月30日 (木) 18時55分

■mauさん
おっ、mauちゃんも行ったんだぁ。
あの真っ暗な場所を縦横無尽に動く子供達って……。
そりゃすごいなぁー。それ見てみたいなぁ(…あ、姿は見れないけれど^^)
見えないことの恐怖より、暗闇への好奇心のほうが高いんだろうねぇ。
いいなぁ、そういうのって。心の底からうらやましいわ。
大人って臆病者だなぁ、間違うことも怪我することも怖いんだよね。
次回は子供とかもっと年上の参加者さんとかと一緒にツアーするのもおもしろそうだな。

投稿: ok | 2009年4月30日 (木) 19時00分

OKさん、チケット譲っていただきありがとうございました。本当に感動したというか、いろんなイメージが湧いてきて驚いています。
>「そろそろ明るい世界に皆さんは帰りますので、僕とはここでお別れです」
このアテンドさんの言葉は妙に切ないですよね。実際的な部分と、観念的な部分でのお別れのような気持で、妙に揺さぶられます。
どうしてあの暗闇の中で感じられた自分の素直な部分が、目が見えるようになった瞬間に、小賢しく変化してしまう・・・この辺に自分の成長すべき方向性を見出した気がします。

投稿: | 2009年5月 1日 (金) 00時42分

あっ!すいません。名前書かずに書きこんじゃいました!!

投稿: 歌子 | 2009年5月 1日 (金) 00時43分

■歌子さん
私が参加したグループはみな社会人といった感じの男女混合チームだったよ。
どの人も感じたことを素直に声に出せる人ばかりだったので安心感があったわ。
アテンドさん(ヒデブーさんという方)も明るくて頼りがいのある男性だったよ。
ヒデブーさんの話によると、女性のほうがわりと早くからけっこう感じたことを声に
出す傾向があるみたいって言ってた。あと、内気な人が多いグループだと、状況を
言葉にして伝える声がなかなか参加者から出てこなくって、参加者の動きが止まっ
てしまいがちだし、アテンドさんも把握しずらい、みたいなことを言ってたよ。
確かにあの場で声をかけあえなかったら、歩けないなぁ…。

職場でDIDの体験を話してたら、会社の男の子が盲人の数学者の話をしてくれたの。
盲人の数学者達は視覚で角度や長さを見て判断できないから、彼ら独自の概念で
数学的なものを捉えるんだって。そのせいか、とてつもない数式を発見したりする
ことがあるらしいよ。

まぁ、だからといって視覚障害の方が全て感覚的に恵まれているかのように神格化
しすぎるのもどうかと思うし、現実的には視覚障害の人が社会的な弱者であること
は残念だけど事実なわけで…。
そのあたりを考えるとやるせなさを感じたりもしました。

投稿: ok | 2009年5月 1日 (金) 10時36分

こんな体験が出来るイベントがあるなんて全く知りませんでした!!早速旦那と中学生になった娘に話してみたいと思います!!

私は、ごく小さな視覚障害(全盲)のお子さんを知っています。小さな子どもの彼ですが、心も素敵で驚かされます。
彼がかけてくれる言葉に、一同優しさに包まれたり。
そして、彼はこんなに小さな頃からおしゃべりが出来るの?という月齢から大人ともしっかりと会話をしていました。私もこんな小さな赤ちゃんと、こんなにも会話が成立するんだと驚きまくりました。

また、障害物をセンサーのようにキャッチして、
壁にもテーブルにもぶつからないでよけて歩けるんです。
うちにはじめて来た時も、まるで我が家の家具の配置や間取りが見えているかのように歩いていました。
しかもテーブルの高さよりも背が小さかった頃には、テーブルの下に歩いて入ったと思ったら、すーっと出てきたりして、
みんなで『出てきたねー』とその子のパパとママも我が家の家族もみんなで大笑い(それも高さを感じ取れてるからできることなんでしょう)

とにかく、私たちにはない色々な感覚を目の当たりにして家族一同驚きました。

彼の感じている世界を少しでも体験してみたい。
まずこれが、参加するときの我が家の動機になると思います。

投稿: ラヴァー | 2009年5月 2日 (土) 01時33分

■ラヴァーさん
お子さんを連れて家族で参加するっていうのは本当におすすめします!
私にも子供がもしいたら参加させたいなって思ったもん。
チケット代が高い気がすると思うけれどねー、でも行ったあとはこのチケット代は
高いなんてぜんぜん思わなくなるから。(保障します)

DIDって日本では相当開催自体が難しい企画(消防法とかの関係で)なのを、
事務局側の熱意と苦労でひとつずつクリアさせていって、参加者達の評判が
口コミで広がり毎年の開催が実現して今回の長期開催にいたってるわけで。
それを考えてもこのDIDを一度は体験してみる価値はあると思うよ~。

ラヴァちゃんのお友達の小さな視覚障害者さん、すごいね。
おしゃべりが小さい時から堪能だったのは、やっぱりそれが彼にとって他者と
コミュニケーションをとるための手段として一番有効で発達せざるを
えないってこともあるんだろうね。
そうやって視覚以外の感覚が、どんどん健常者より優れていくんだろうなと。
スティービーワンダーは確か、視覚以外に味覚や嗅覚もないって聞いたことが
あるけれど大変だろうな。(彼の聴覚が失われてなくて本当によかった…)

ただ、DIDは決して「視覚障害の疑似体験」をするためのイベントではなくて、
暗闇のなかで視覚が機能しなくなったときに、自分が普段気づかないうちに
他者との間につくっていた境界をはずして、素の自分になること、そんな人間
同士が協力しあうことの大切さを知ることなのかなって思ってます。
他者との対話をとおして自分自身とも対話するみたいな。

投稿: ok | 2009年5月 2日 (土) 10時42分

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