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ミリキタニの猫

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去年見ようと思っていたのに見逃して
しまった『ミリキタニの猫』が、今週
十条のシネカフェ【soto】で上映される
というので見に行ってきました。

「ミリキタニ」はこのおじいさんの名字。
「三力谷」と書いてミリキタニ。
日本でもその一族だけという非常に
珍しい名字らしいです。


80歳のミリキタニは、NYの路上で暮らすいわゆるホームレスでした。
ただ普通のホームレスと違って、ほどこしは受けないのです。
自分の描いた画を買った人からしかお金を受け取らない。「アーティストだから」。

たまに彼から画を買ってペンなどをあげていたこの映画のリンダ・ハッテンドーフ
監督が、9.11事件をきっかけに彼を自分のアパートに引き取って暮らし始めるの。
その風変わりな共同生活をしているうちに、リンダ監督はミリキタニの苦難の人生
を知っていくわけなんだけど…。

このミリキタニがたまらなく頑固者で、その上、ちょっとテンネン的な可愛さもあって、
たまらなく愛すべきキャラクターのおじいちゃんなのでした。

米国で生まれた日系アメリカ人である彼は、大戦中強制収容所に入れられ、別の
収容所に入れられた実姉とはその時に別れたまま50年以上たってもどこに住んで
いるのか生きているのかさえわからないまま。そんな仕打ちをしたアメリカを憎み、
抵抗した彼は、自分から市民権を捨ててしまうのです。

重い題材を扱っていながらも、ミリキタニの飄々とした性格と朗らかなリンダ監督と
の関係が素敵で、見ているうちに、なんともいえない気分になれるのでした。

肌の色も違うし、ほんの数ヶ月の仮住まいなのに、本当の家族みたい。

ある日、リンダが映画を見に行きそのまま友達と遅くまで飲んでいて、夜中の0時
過ぎ頃に帰宅すると、ミリキタニが「嫁入り前の若い娘が…、心配したじゃないか!
本当に心配した。本当に心配した」と自分の心臓があるあたりを押さえ、泣きそうな
顔で怒ってね。それがたまらなくって、胸がキュンとしてしまいました。

亡くなったおじいちゃんのことを思い出しちゃったな。

ミリキタニは古き良き日本男子。
「心臓が止まって死ぬ時まで絵を描き続ける」というのが口癖なのもかっこいい。
軸がぶれていないまっすぐなサムライ。

映画のあとは、【斉藤酒場】へ。
「今日は火曜日だから大根煮たのあるのよ」久しぶりに優しいおかあさんの顔が
見れた。あぁすてきだ。私はこんなかわいらしい日本のおばあちゃんになりたい。

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コメント

私も以前飯田橋でこれ見ました。
陳腐ですけど「肉親と逢えてよかった」と
最後に安心できて嬉しかったです。
ボールペンであんなに素敵な画が描けるって
凄いと思いましたよ。

投稿: ふみぃ | 2008年12月13日 (土) 12時33分

■ふみぃさん
再会のシーンを大袈裟に盛り上げることなく、さらっとエンドロールに流すところが
この映画の良いところですよね。

それにしても不謹慎な言い方だけど、アメリカって国はおもしろい国だなと思いました。
肌の色が違うだけで、あれだけひどいことをするのもアメリカ。
だけど戦時中の名簿やら手紙やら個人データやらあれだけ詳細なものが誰もが自由に
ネットで閲覧できて、取り寄せることができて、書類がそろえばすぐにきちんと社会保障
を受けることができてしまうというのもアメリカなんだもの。
(社会保険庁、少しは見習えよって思ったわ)

投稿: ok | 2008年12月13日 (土) 22時44分

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