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週末に見てきた2:『イントゥー・ザ・ワイルド』

329456_01_01_02ジャーナリストで登山家のジョン・ク
ラカワーのノンフィクション「荒野へ」を、
ショーン・ペンが10年近くも映画化権
取得に執念を燃やしやっと製作した
映画、『イントゥー・ザ・ワイルド』
2時間半という長い映画だったけど、
退屈なしの内容の深い映画でした。

私はいわゆる『自分探しの旅』に出るタイプの人間があまり好きではなくて、この
主人公にも、最初はそれほど感情移入できなかったんだけど。
裕福な家庭の息子で(私生児だったり親が不仲ではあるけれど)、成績優秀で
スポーツ万能で周囲から将来有望視されているような彼だからこその苦悩であり、
もっと辛い立場で、その状況から逃れることができないような人達から見れば、
ひどく子供っぽい甘ったれた理想主義者でしかないような気がして。でもそれは、
私自身がぼんくらな理想主義・平和主義者的なところがあって、だから彼を見て
ると、自分の甘チャンな部分を見ているような気になってしまい、映画を見ていて
どうも居心地が悪いような気分にさせられたからかもしれないのですけど。

それでも、スクリーンに広がる雄大な北アメリカの風景の美しさや、全編に流れる
心地よい音楽、そして旅の先々で知り合う人間性豊かな人々との出会いなどを
見ているうちに、だんだん彼のことを友人のように思えてきて、
「なんとか、アタマでっかちな彼が手から本を捨て、出会った人とや自然との対峙
によって成長していってくれれば…」と祈るような気持ちで映画を見てました。

文明を否定したり、所持金を燃やしてみたりしたところで、自然の中ではカラ身で
生きていけるわけでもなく、それどころか、廃車のバスを寝床にし、銃で野生の
動物を撃ちそれを食べ、マッチで火をつけ灯りをともしているという矛盾に、きちん
と向き合えていない彼の未熟さ、無知さがどうにもこうにもせつなかったなぁ。
獲物が捕れなくなり飢餓寸前でやせ細り亡霊のようになってしまっている時にで
さえ、本から知識を得てなんとかしようとしているのが見ていて心底辛くて…。

それなのに、不思議と見終わった後は、彼が亡くなったにも関わらずさほど自分が
悲しい気持ちにはなってなくて、どこか清々しい気持ちでした。
最後の最後ではあったけど、彼がちゃんと答えを出せたことで、ほっとできたから
かもしれません。最後までそれをわかってくれなかったら、映画を見終わったあと
ずっともやもやとした気持ちが残ってしまっていたかもしれません。

ショーン・ペン監督は、ラストシーンをことさら悲劇的に演出せず、さらっと客観的な
視線のまま終わらせてたところが、たまらなくセンスいいなぁって思いました。
マドンナの最大の失敗は、ショーン・ペンと別れたことだろうなぁ。
(ガイ・リッチーじゃなぁ。小者すぎるよねぇー)

最後に
この映画はDVDじゃ絶対だめ。映画館じゃないと面白みが半減してしまうからね!


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コメント

はい、ちゃんと映画館でですね。
でも原作あんまし面白くなかったんだよなぁ。

投稿: ぜっとぜっと | 2008年10月 3日 (金) 06時44分

自分も見てきた。
なんか見終わっても余韻に浸れる映画でしたな。
タイトルは「荒野へ」のまんまが良かった気がするけど。
なんかワイルドってカタカナ書きすると違う意味出てくるじゃないかと。ヤンチャ野郎的な(笑)
ショーンペンはいい監督になった!
サントラ欲しいす。

投稿: T児 | 2008年10月 3日 (金) 08時19分

呑み仲間にあらすじ全部喋られてしまいましたが、そもそも見に行くつもりはなかったものの、見に行きたいなあと思わせる話だと思ってました。ガーデンシネマ近いんでいきたいとは思ってるんですが、ここいらで重い尻があがるかな。。

自分探しの時間が、やがて社会に還元できる活動への原動力となり、それが形につながればいいのでしょうけれど、挫折やモラトリアム経験をその後の人生においてきちんと結実させている人は実際には少ないんでしょうね。

投稿: PINA | 2008年10月 3日 (金) 15時48分

■ぜっとぜっとさん
いや、もともとこの映画を観るつもりなかったら観なくていいんですよー。
ただDVDになってから観ても、それほど面白くないような気がして。大自然の迫力が
伝わるのは大きなスクリーンだからこそでしょ?

で、「転々」はむしろDVDのほうがいいと思う私です(笑)

■T児さん
そうそう余韻にひたれるよね。実は最初の頃あまりの気持ちよさに5分くらい睡魔が
おそったのでした。退屈さからではなくってね。
エンドロールの音楽も良かったですねー。
あれが映画終了後のあの余韻に効果を与えたのかもしれないです。
ショーンペンは本当にいい男だよね。大好きっ!

投稿: ok | 2008年10月 5日 (日) 17時23分

■PINAさん
私も、「荒野へ」の映画化とかいう話題性だけでは、積極的に観たくなる映画
ではなかったんだけど、ショーン・ペン監督ってことで行ってみたのでした。

>挫折やモラトリアム経験をその後の人生においてきちんと結実させている
人は実際には少ないんでしょうね。

そうそう、私もそこを問いたいというか…。
インドとか行って結局何年もダラダラした挙げ句世捨て人みたいになっちゃって
日本にも帰れなくなったりして、って人が多すぎるし。
(まぁ私の場合、そういう旅さえ出来ない甘ったれなのだけど)

で、中田ヒデの自分探しの旅は終わったのでしょうか?(笑)

投稿: ok | 2008年10月 5日 (日) 18時03分

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