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長嶋有を見直した

5c9db95d.jpg先週、長嶋有の単行本を3冊ほど借りてきました。
『猛スピードで母は』、『パラレル』、『泣かない女はいな
い』。
芥川賞『猛スピード・・』から読み始めて、まぁまぁかな?
と思い、『パラレル』であらあらうまい作家かも?、と
思いはじめ、『泣かない女はいない』でノックアウト。


なかなかすごい作家です、長嶋有。私、今まで見くびってました。

『泣かない女はいない』
このタイトルは、主人公の睦美が、働いている職場の飲み会でカラオケに
行った時、ずっとひとり歌うのを嫌がっていた少し気になる存在の樋川
さんが周りに歌を強要されて、仕方なしに選んで歌ったボブ・マーレィ、
からきてるんですけどね。いいオトコなの、樋川さん。かなり惚れます。

あっさりとさらさらと読みやすい文章で、大した事件なんてぜんぜん
おこらない、さえない日常−淡々と伝票を輪ゴムでまとめ倉庫に運ぶよう
な毎日−を切り取った小説なんだけど、そんな毎日のなかで、人は、喪失
感とか開放感とかを感じたりしているんだよね。
なにも不治の病で恋人が死んだりしなくたって、愛は感じられるし失うも
のなのだと…。

とにかく胸にじんわりときました。
長嶋有…。オトコなのに、なんでこんなに女の心の機微がわかるんだろ、
やられた。女じゃないのに、女以上に女をわかってますね、この作家。

で、舞台になってる主人公の勤め先の会社が、私の家のすぐ近くなので、
その何もない田舎の工場団地の上を走るモノレールみたいな小さい電車が
ゆっくり走ってる風景が手に取るようにわかるので、このあまりにもなん
にも起きようもない土地を舞台に選ぶというこの作家のテクニシャンぶり
に感服してしまいました。

表題作の他に『センスなし』、『二人のデート』という小説がこの本には
収録されてるんだけど、この2作も本当にいいの。
何度も言うけど、男が書く女性じゃないのです、ほんとに。
高校時代に聖飢魔Ⅱのファンだった女を主人公にした小説(『センスなし』)
なんて未だかつてあったかね。
それがまたギャグではなくって、情感があって少し哀しくて。

女性必読って感じの小説ですわ。これ。

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コメント

あ、あ、ボブマリーの名曲ですね。
日常を淡々と綴る小説とか映画って好きです。
図書館で借りれるかなぁ〜。
私、男子ですが読んでみたいです。

投稿: たけ | 2006年1月31日 (火) 11時59分

■たけさん
そうそう、「no woman no cry」です。
もしかしたら主人公の心のうつろいとかは、男性が読むとわかりづらいかもなぁ…。

男性読者から人気のあるのは『パラレル』と『タンノイのエジンバラ』という単行本だそうです。
英国タンノイ社というオーディオメーカーのエジンバラという機器からきているタイトルだとか。
きっと長嶋有って音楽が好きなんでしょうね。

投稿: ok | 2006年1月31日 (火) 16時28分


『タンノイ』とは、懐かしい。
その昔高校生の時オーディオに凝ってた時に「いつかは欲しい」と思ってたスピーカーです。
今の今まで忘れてましたけど。
今じゃBOZEですけどね。
良いですよ音、タンノイ。

それで今聞いてます、No Woman No Cry。
これまた忘れてましたが最高です、Bob Marley。

投稿: ma | 2006年1月31日 (火) 17時47分

■maさん
おぉ、タンノイを知っていましたか。(音楽詳しい人は知っているものだったりする?)
私は機械&配線オンチなので、AV機器とかまるでダメです。
なので、最初この本のタイトル見たときは「何かの暗号?」って思っちゃいました。

投稿: ok | 2006年1月31日 (火) 23時07分


角田光代さんと仲良しの作家さんだけあって、男性ながら、女性の心理を深く理解されていますよね。樋川さん、私も好きでした。なんかいい感じに気の抜けた男性で、ゾクゾクしましたよ。

投稿: 歌子 | 2006年1月31日 (火) 23時37分


■歌子さん
そっか、長嶋有って角田光代と仲良しなんだぁ。なるほどです…。
樋川さん、魅力的だよね。達観してる感じとか、ムーミン谷のスナフキンみたいでした。
(スナフキンに弱いワタシ……)

投稿: ok | 2006年2月 1日 (水) 10時22分

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